花嫁になる日に旅立ったお嬢さんのお位牌
9日の日、予約されていたお客様がお越しになりました。
ナビでいらっしゃるとおっしゃっていたのですが、当日電話で、ナビが古くて良くわからない、、、と尋ねられていました。
縦貫道が出来たので、速くなったけど、道がわからないでしょう。
到着したお二人は、何だかへとへとのご様子。
私より少し年上くらいのお母さんと、20代の娘さん。
でも娘さんは、何だか険しいお顔で入ってこられました。
体験の見本をお見せして、何を作るか決めていただくときに、もっと小さいものが吹けますか?と、お母さんが尋ねられました。
『あの、、、
以前、娘のお位牌を作っていただいたものです。
今日はお仏壇に供える、お水を入れる器を作りたくて、、、』
申込書のお名前を見て、すぐに思いだしました。
ああ!ピンクのお花の!
4月。
メールで問い合わせがありました。
21歳の娘さんが、朝ベッドで突然亡くなっていたと、、、
その日は結婚式の前の日だったのに。
解剖してもらっても、死因は分からず、突然死ということ。
とにかく、可愛くて、純粋な子だったから、そんなイメージでお花をあしらって欲しい。
そして、彼女の好きだったマークも入れてほしいということでした。
いただいたイメージには、本当に可愛い娘さんのプリクラが貼ってあって、結婚式を控え、最高に幸せだったはずの彼女を連れて行くなんて、神様は何て無慈悲なんだろうと思ったのでした。
お母さんの気持ちに応えるべく、試行錯誤してお届けしました。
ガラスの形状から、少々伸びたように見えますが、下の方にはピンクと白のお花を入れました。
背面には、ご希望通り、誕生日から命日までを彫りました。
『その節は、綺麗なお位牌を本当にありがとうございました。
実は今日、娘の誕生日なんです。
それで、あの子が食べてみたい!って言っていた、”さわやか”のハンバーグを、あの子の姉と一緒に食べようと探したら、一番近いのが富士で、、、
そのうちに、FAROさんを思い出して、よってみようかと、静岡の友達に聞いたら、「富士から西伊豆は遠くない」って言うもんですから体験の予約をして。
それで宿を御殿場に取ったのですが、まさかこんなに遠いなんて、、、』
「え!?これから御殿場にとんぼ返りですか???
それはそれは大変でした。だから、あんなに疲れた様子だったんですね!!」
ずっと千葉から運転してきた娘さんが、不機嫌だったのも納得です。
お母様は、亡くなった娘さんの為に。
お姉さんは、ほぼ同じころ亡くなったペットの為に、、、
それぞれ小さなグラスを吹いて行かれました。
せっかくなので、裏側に日付とメッセージを彫って差し上げることにしました。
お母様は、『Happy Birthday』と、彫ってほしいとおっしゃいました。
お二人で汗を拭きながら、初めとは別人のような笑顔で、『楽しかった』とまた御殿場まで御帰りになりました。
げんこつハンバーグは、おいしかったかな??
私が作るお位牌の仕事を手伝いながらも、
「お悔やみの仕事ではなく、お祝いの仕事をしたい、、、」
といつもこぼしている主人の気持ちにも、ちょっと変化があったのではないかな~って、私は思っています。
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